「もしもの事なんて、考えないでください。純那が悲しみます」

先生の声が少し大きくなる。

「ふふふ、そうね。もう泣いてるんじゃないかしら?ねっ、純那。入っていらっしゃい」


えっ?!


バレてる?


真咲先生がゆっくりとカーテンを開けた。

お母さんったら全てお見通しなんだもん。
恥ずかしくなっちゃった……


「純那!!」

真咲先生は、びっくりした顔で私を見ていた。

私は先生の横にパイプ椅子を出し、ちょこんと座った。

「いつから気がついたの?」

私はお母さんに聞くと、

「ついさっきよ」

そう言いながら、髪を結っていた。
完全に人事だし。

私達は少し話をしていたら、看護婦さんの回診が来た。

大した異常も無く、看護婦さんは次の患者さんの元に行ってしまった。

お母さんはゆっくり休めたおかげか、少し顔色が良くなって安心したよ。