「純那、先に図書室に行ってて」


私は遊に言われるがまま、図書室に向かった。

うちの学校の図書室は、少し離れた所に有るんだ。


真咲先生に見つからない様に、こっそりと図書室に移動した。


図書室の扉を少し開けた時に、中から声が聞こえてきた。




「何でですか?」




尋常じゃない。



とっさに、物音を立てない様に中に入り隠れた。

話を聞いているとどうやら、言い争っているみたいだ。

女性は興奮した様子で


「私が生徒だからダメなんですか?」


叫ぶ様に言うと、なだめる様に男の声がした。



「そうだ。お前は生徒だから、恋愛感情は持てない。

まだ若いんだ。俺なんかより良い男に沢山出会えるよ。」




聞き覚えが有る声。




女性は声を震わせながら



「分かりましたっ」



そう言って、勢い良く走り去って行った。