真咲先生の顔を見た瞬間、固かったはずの決心がボロボロと崩れそうになる。

そんな思いを振り切る様に、


「一色先生を…幸せにしてあげて」


そう言って、先生の横をすり抜けた。


「純那!!!」


意とも簡単に捕らえられる右腕。
私は、先生の腕を振り切ろうとした。

先生も絶対に離すまいと、しっかり掴み離さない。


「一色先生の苦しみを取ってあげて!!
真咲先生にしか……出来ないんだから」


そう叫び、


先生に最後の『キス』をした。


一瞬、真咲先生の手が緩む。

その隙に、私はドアから飛び出して全速力で走ったんだ。


瞳からは大粒の涙が止めどなく溢れ出し、すれ違う生徒が私を怪訝そうな目で見ていた。


――苦しい


息をする事も出来ない位、涙が止まらなかった。


真咲先生を愛してる。


でも……
このままじゃダメなんだよ。

私は、そのまま保健室に向かった。


一色先生に伝える為に……


転びそうになりながら、全速力で走った。