「俺だよ、純那」


聞き覚えのある声が耳元で聞こえてきた。

私は恐る恐る振り返ると、


「先生!!!」


体中の力が一気に抜けた。


「ごめんごめん、びっくりさせたな」


「先生の…バカ」


そう言いながら、ホッとした安心感なのか涙が溢れ出てきた。

先生はそのまま私を抱きしめながら


「意外と、ここ密会スポットでさ」


そう言い、茂みから遠くを指差していた。

その指の先には、隣のクラスの男子に告白するうちのクラスの女子が居た。


そう言う事ね。


私は鞄を開けると、ゴソゴソとお守りを探した。


―――ガサッ


紙の感覚がする。
その包みを取り出して、先生に差し出しながら


「これ…」


先生は包みを受け取ると、なるべく音を立てない様に中身を取り出した。


「お守り?」


『うん』と頷いてから、


「えんむすびのお守り」


囁くような小声で、先生に言った。


「純那……ありがとう」


そう言うと、先生はギュッと私を抱きしめ



「愛してる」



って言ってくれたのが嬉しくて、先生にしがみついていた。