慌ただしい1日が終わり、早々に帰ろうかと職員室に戻ろうと歩いていた時、廊下で懐かしい顔に出会った。


「…妙子…先生」


あきらかに取って付け加えた様な【先生】と言う言葉に、笑いがこみ上げてくる。


「久しぶりね、真咲先生」


他人行基すぎたかしら?

いや、他人だものね。

私は笑顔のまま通り過ぎ様とした。
すると、意外にも慎弥の方から声をかけてきた。


「一色先生、今大丈夫ですか?ちょっとお話が……」


お話?

今更なんのお話かしら?

そう口に出そうになったが、辛うじて抑える事が出来た。


「はい、大丈夫ですよ」


私は慎弥について準備室に入って行った。

どうやらここは準備室とは名ばかりの、慎弥の部屋みたいになっていた。


「どうぞ」

そう言われて、ソファーに腰掛ける。
簡易的な冷蔵庫の上で、お茶を煎れてくれていた。

慎弥は温かいお茶が入ったカップを、私の目の前の机の上に置いた。