私はお母さんを捕まえると、車を指差し事情を話した。

先生もすぐに理解したみたいで、車の外に出て近くに来たお母さんに自己紹介していた。


「お久しぶりです。真咲慎弥です」


そう言って、お母さんに深々と頭を下げる先生。


「どうも、純那の母です。
先生お時間あります?汚いですが、上がっていきませんか?」

お母さんは、笑顔で玄関の方に行くようにすすめた。

私達は、部屋に入り先生を居間に案内した。

先生は、私に

「ちゃんとした服着てこれば良かった」

って呟いていた。

緊張気味の先生を椅子に座らせて、私はお母さんの横に向かった。

素早くお湯を沸かし、紅茶を作るお母さん。

「あんたは、先生をおもてなししてなさい」

そう追い返され、先生の横に座った。

そのすぐ後に、お母さんが紅茶とお菓子を持って来て先生に出す。

「ありがとうございます」

そう言った先生は、完全に先生モード。

「なんか家庭訪問みたい」

って不服顔で言うと、先生は

「家庭訪問です」

そう答えた。

少し緊張がほぐれた私達3人は、和やかに話し始めた。