結局くだらない話をして、居残り授業が終わってしまった。

私は勉強しなくて済んだから嬉しいんだけどね。

10月も終わりにさしかかっているせいか、外は暗くなり始めている。


「下で待ってろ」


なんて車の鍵を渡された。

少しキュンとしてしまう自分に、渇を入れながらげた箱まで急いだんだ。


もう知ってるよ、先生の車。

黒のセダン。

私はドキドキしながら車を触ったんだ。


「コラッ!!」


後ろからいきなりの怒鳴り声。

慌てて後ろを向くと、先生が笑いながらこっちを見ていた。


「手垢が付くだろ」


なんておでこをデコピンされた。


「いった―――い!!」


って怒ったら、さっさと鍵を開けて


「置いていくぞ」


なんて言うもんだから、急いで助手席に乗り込んだんだ。


当たり前に乗り込んだけど、良いのかな?

ちょっと不安になって先生をチラッと見ると、平然と窓を開けてタバコをくわえていた。

先生のしかめっ面があまりにも格好いいから、つい見つめてしまった。


ヤバいヤバい。


これじゃ昨日の二の舞だね。

私は慌てて窓の外を見た。