すぐに無言になってしまう車内。
何を話して良いのか分からなくなる。
すると、バイブの音が鳴り響く。
今度は先生の。
携帯のディスプレイを見た先生は
「ちょっと、ごめん」
そう言って電話を取った。
聞きたくないのに聞こえてくる女性の声。
『来週の月曜日の事なんだけど……』
嫌な妄想ばかりが、私の頭の中に出現して来る。
「ごめん、今出先だからまた連絡するわ」
そう言うと、早々に電話を切った。
また、帰ってから電話するんだ……
先生の言葉が私の脳内でリピートされる。
多分、今嫌な奴になっていると思う。
私には、止める権利なんて無い。
そして、嫉妬する権利も……
でも、そんな理性とは裏腹に先生を他の女の人に取られたくないって気持ちが強くなる。
気が付いたら
電話を切った先生の腕を
ギュッと掴んでいた。

