車のエンジンがかかると、さっき中途半端な所で途切れたラブソングの続きが鳴りだした。
【かけがえのない時間は
魔法の様に過ぎ去り
私の心に
寂しさを残していく
こんなに近くに居るのに
こんなに沢山の時間を過ごして居るのに
どんどん『好き』が溢れ出す。】
―――キュン
歌詞が私の心とリンクする。
【好き】
と言う2文字は
短いのにすごく長いね。
今すぐにでも車が発進しちゃう。
そう、後数時間で魔法が解けるんだ。
気が付いたら、先生のTシャツの袖をギュッと掴んでいた。
先生はハンドルを握ったまま、俯く私に
「どうした?」
って優しく聞いてくれた。
【好き】
なんて言えるハズが無いのに……
私の体から【好き】が溢れ出てしまう。

