前を向くと、八橋先生が黒板に古文を書き説明していた。


『これは、身分が違うから叶わぬ恋と分かってはいても、月を見ながらあなたを思ってしまう………』


いつの時代も、みんな気持ちは同じなんだね。


私はそんな思いに共感してしまう。


今は、まだ携帯やメールが有るけど昔は無かったんだ。

それなのに、思い続けるなんて昔の人は強いんだよね。


私はもう一度、窓の外を見た。

音楽がグラウンドに響き渡り、先生はみんなを見ながら笑顔になっていた。



私は、こっそり思い続けられなかった。



だから、先生を困らせてしまったんだ。



これからは月を見ながら、先生を思い出します。



先生を忘れる事が出来るまで。