「何か有ったの?」

柚子が気づくのも無理はない。

つい数週間まえには先生を見ながらキャ―キャ―言ってたんだから……


「実は…」

私は柚子を人気の無いところまで連れて行って、いきさつを話した。


「そっか、でもそれって……」


――――キーンコーンカーンコーン


タイミングの悪いチャイムが鳴る。
私達は仕方無く教室に入り、急いで椅子に座った。


出席を取る佐多先生。


真咲先生の声に慣れてしまっているからか、何だか違和感を感じてしまう……


目を瞑ると、真咲先生の姿が浮かんだ。


タバコの匂い
サラサラの髪の毛
優しい瞳
先生ん家のミルキー


全てが鮮明に思い出されるんだ。

まだ『好きなんだ』って実感。


ごめんなさい、先生。

まだ、真咲先生の事好きなんだ。


乗り越えるまで少し時間を下さい。


そしたら、又笑顔で話せるから。


だから……


もう少し待ってて下さい。


卒業するまで。