結局、ぼーっとしたまま仕事を始めた私は、数々の失敗をしてしまった。

心配したさゆりさんは店長に話してくれた。

結局、店長の配慮で早上がりさせて貰う事になったんだ。

情けないや。

私が上がるタイミングで、さゆりさんは休憩を入れてくれた。


更衣室に入り早速タバコに火を付け、

「で、なにが有ったの?」

タバコの煙を吐き出しながら、優しく私に問いかけて来た。


私は、きっと先生が私の気持ちを知ってしまってると思うと言った。

さゆりさんは、休憩中なのにずっと私の話を聞いてくれたんだ。


「そっか、純ちゃんは優しすぎるんだね」


私が……優しい?


首を傾げる私に話を続けた。


「自分の事より、相手の事を先に考えてしまうんだよね」


そうかな…


でも、好きな人を悲しませたり苦しめたりさせたくないんだもん。

さゆりさんは私の頭を撫でながら、


「自分の気持ちに正直にって約束でしょ?もっと楽に生きなさい」


そう言ったんだ。

さゆりさんから香るタバコの匂いに泣きそうになる。

「…うん」

そう言うのが精一杯だった。

震える私の体を、力一杯抱きしめてくれたんだ。