「じゃあ、夕飯に付き合ってもらおうかな」

先生は私の方をチラッと見て、最高の笑顔をくれた。

やっぱり先生は優しいな。

きっと、分かってるんだ。


私は窓ガラス越しに見えるイルミネーションを目に焼き付けた。

もしかしたら、もう先生と2人でドライブなんて出来ないかもしれないから。


不思議と静寂が気にならなかった。


先生は不意に窓を開けると、いつもの様にタバコをくわえた。

刺さるような冷たい空気が車内に入ってくる。

そんな空気につられて先生の方を見てしまう。



『今日が終わらなかったら良いのに…』



先生の横顔を見ながら心の中で呟く。

「純那、ライター取って」

私は黄色いライターを先生に渡した。

「はい、先生」

前を向きながら受け取る先生の手と私の手が触れ合った。

一瞬の事だったけど、触れ合った部分から『スキ』が伝わってしまいそうでドキドキした。



やっぱり、苦しいや……



「ありがとう」

そう言ってしかめっ面をしながら火をつける先生を、ただ横から見ていた。