ずんずんと駐車場まで来た私に、鍵を渡してきた先生。
「先に入ってろ」
「うん」
私は言われるがまま、助手席に乗り込んだ。
先生は駐車料金を払っていた。
先生を困らせる自分に
自己嫌悪。
私は窓ガラスを息で曇らせると
『スキ』
と書いた。
多分、一生言えないかもしれない言葉。
書くだけなら良いよね?!
先生が帰って来るのが見えたから、急いで手で拭き取った。
証拠隠滅。
先生は車に乗り込むなり、
「イタズラしてただろ?」
「し…してないもん!!!」
イタズラじゃないもん、落書きだもん。
どもる私をよそに
「腹減ったから、何か食べるか?」
そう言うと、私の返事を聞かずに車を発進させた。
ちょっと、まだ返事してないんだけど。
私が先生を見ると
「帰りたい?」
って前を向いたまま私に尋ねる先生。
帰りたい訳無いじゃん!!
私は首が取れる位、横に振った。

