ぬるいお茶を一気に飲み干した先生に、
「先生、帰ろう」
そう笑顔で言った。
もう慎やんなんて呼べないよ。
私は無言で立ち上がると、先生を立ち上がらせた。
「もう満足したのか、純那?」
少し驚いた顔をした先生は、私の顔を覗き込んだ。
もう、純那って呼ばないで欲しい。
だって、また純那って呼んで欲しくなるから。
どんどん、欲張ってしまいそうになるから。
「うん、満足したよ」
うまく笑顔が作れたかな……
私は顔を見られたくなくて、先生を置いて歩き始めた。
前に、先生が言ってた意味がやっと分かったよ。
中途半端に期待させたらダメだって……
どんどん欲張りになっちゃうんだね。
だって、今そうだから。
先生と付き合いたいって思ってる。
片思いで良いなんて、もう思えないよ。

