泣いている私の頭を撫でるようにして、涼子は優しく語りかけてくれる。


《やっぱりさ、いい試合をしようと思ったら
 日頃の体力作りって必要じゃない。

 恋愛だって、きっとそうだと思うのよ》


 ぼやけた頭、涼子に突然変な例え話をされた私は、

「……体力作り?」

 思わず顔を上げる。


《そうそう、体力作り。

 美咲がいくら浩二君を大切に思っていると
 しても、やっぱりお互い言葉にしなくちゃ
 いけない事もあると思うのよ。

 だけどいきなり本音をぶつけ合ったりした
 ら、間違いなく大変な事になっちゃうから
 さ、その為の体力作りよ》


「言わなくちゃいけない事……」





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