気づけば外は茜色を過ぎて少し暗くなっていた。

沈んだ頭はまだ起きない。

疲れてるのかな。

なんとなく、犬みたいな髪を触る。

案外柔らかくて、ワックスが少し指にかかる。



可愛い。



そうして暫くしていると先生の肩がピクリと揺れた。


あたしは先生の頭を撫でていた手を離し、代わりに床にある鞄を掴んでそっとソコを離れた。



たったそれだけ。
それだけだった。