時間の経過はわからない。

『EXIt』の近くに移動していたが、歯無は起きるたびに元の場所に戻されていた。フランスパンを食べ、アゴが疲れてやることもないので、寝ることを繰り返した。

 何度繰り返したかは覚えていない。少なくとも五十回位だろうか。

 単純に日付に直すと二ケ月も経過しているのだ。

 歯無が目を開けると、そこは違っていた。

 壁は汚れもなく真っ白だ。

 鉄格子もない。ドアがなく、いつでも出入り自由だ。

 もちろん便器もない。

 だから無臭だ。