だから、話す人が少ないのだ。関わりがなければトラブルも起きないのだ。

 歯無はいつものように、お腹を空かして食堂に来た。

 なぜだか、いつもより人が多い気がする。空いている席がない。四十代と五十代の男たちは黙っているだけだ。食事をしている人は一割程度だ。

 歯無は座る場所がないので、床の上で食事を摂ることにした。

 毎回、語野字と会うわけではないが、いないとホッとする。戸度橋とは一回会っただけで会っていない。

 だから歯無はほとんど一人で食事をして、話すことなく、部屋に寝に帰る繰り返しだった。

 運動する場所も娯楽施設もない。やることがないので、誰もがストレスをためている。ケンカになれば、ロボットに連れていかれる恐怖は誰もが抱いている不安だ。