紗英は啓哉に訊ねた。
「…ねぇ、啓哉くんが
高校3年の時、
進路悩んだ?」
「俺?あぁ。悩んだよ。」
「そうなんだ。」
「ウチは母子家庭だったし、
弟も病気だったから、
進学は諦めてたけど、
就職するまでが大変で、
10社以上受けたけどダメでさ。
それでもこの職種に
こだわり続けて、
今の会社に受かった時は
さすがに母親と
泣いて喜んだよ。」
「ふぇー…。」
「今は不景気で厳しいけどさ、
諦めず頑張ったら
きっと報われる日が来る。
自分を信じろよ。」
啓哉は立ち上がり、
紗英の肩をポンポン、と
叩いて部屋に戻った。
紗英はそのままキッチンに残り、
何やら考えていた。