店長はすぐさまレジに入ってくれた。

「里桜ちゃん、来てたのか」

「モチっ! 発売日ですから! …それよりまたエライ客が来ましたね~」

「ホントだねぇ。まあ年に何回かは来るんだけどね。桃枝をシフトに入れといて良かったよ」

「先輩、口がウマイですからね」

レジから見ると、先輩は穏やかに優しく、しかし譲らない意志の強さを出しながら、少年を説得している。

やがて根負けしたのか、少年は出て行った。

「ふぅ…。ヤレヤレですね」

少年に怒鳴られていた店員が、先輩にお礼と謝罪をしながら頭を下げまくっていた。

「さすが桃枝。俺の跡を継いでくんないかねぇ」

「全国店舗の支店を受け継いで、何が良いんですか?
先輩はゲームを売るより、作りたい人なんですから」

「知ってるよ。そう言う里桜ちゃんだって、ゲームを作りたいのか?」