「もう恋愛の話はやめて。苦手分野のことばかり話していると、気分悪くなる」

「それはゴメン。でも付き合うことは真剣に考えといて」

…どう聞いてもウソっぽく聞こえてしまうのは、長い付き合いのせいだろうか。

「さて、ご機嫌を損ねたお詫びに、映画が始まるまでお茶でもしようか」

「奢り?」

「当然」

笑顔で肩を竦める桂木を見て、私は表情を緩めた。

「…なら映画館の前の喫茶店が良い。デザート豊富だから」

「OK。それじゃ、行こうか」

再び肩を抱かれる。

…まあ、イヤじゃないけどさ。