「たまたまだ。しかし…お前、それ本気で一緒に見る気? 私一人でも良いんだケド?」

桂木が手にしているのは、元はマンガだったのを映画化したものだ。

はっきり言って、オタク向け。

私が行っても違和感無いだろうが、コイツはなぁ…。

「うん、里桜が一緒なら僕は何だって良いんだ」

そう言って女生徒なら失神しそうなほど、甘い笑みを浮かべる。

「あっそ…。じゃ、待ち合わせはどうする?」

「授業が終わったら教室で待ってて。迎えに行くよ」

…正直ちょっとイヤだったが、まあ言える立場でも無いか。

今にはじまったことでもないし。