「何だ、つまらないな。僕の思い、そろそろ真剣に考えてくれたのかと思ったけど」

わざとらしく肩を竦めて見せる桂木に、私は思いっきりイヤそうな顔をして見せた。

「そのふざけた話題はいつになったらやめてくれるんだ?」

「失礼だな、真面目なのに。やっぱり柊が本命?」

「アイツは悪友! そしてお前も悪友の一人だ!」

桂木は中学時代からこんな悪ふざけをする。

おかげで女子生徒の視線が痛いことこの上無い。

「それは残念。そろそろステップアップしたいんだけどね。どうかな? 放課後は映画なんて」

そう言って、どこからともなく映画のチケットを2枚出して見せる。

…言い忘れていたが、桂木の実家は資産家で、コイツ自身跡継ぎでもある。