先輩もケータイ小説を見たり書いたりするけれど、それほど夢中になっているワケじゃない。

だから第三者の目で、冷静に答えをくれる。

すがる思いで、私は先輩を呼び出した。

モーニングセットが来ると、私は話し出した。

「先輩、ケータイ小説最近、見てます?」

「まあ毎日ってほどじゃないけど、見ていますよ」

トーストにバターとジャムをぬりながら、先輩は笑顔で言った。

「じゃあ…『REN』という、恋愛小説家のことはご存知ですか?」

恐る恐る言うと、先輩は手を止め、私の顔を見て苦笑した。

「『REN』、ですか。…彼女は、あなたでしょう?
里桜クン」

「えっ!?」

ぎょっとした。

思わず後ろに下がるも、ソファの背もたれに当たるだけ。