…が、それが別れではなく、はじまりだった。

バイトを終え、家に帰った私は、さっそくCDを開けた。

そして歌詞をめくって見ていると、ふとテレビの声で顔を上げた。

自室のテレビで音楽番組を流していたら、どっかで聞いたことのある声が聞こえたからだ。

大人気歌番組に彼が…昼間、ゲームのことで熱くなっていた彼が出ていたのだ。

サングラスを外していても分かる。

あの姿、あの声、そして存在感。

彼は今、人気沸騰中の新人バンドのボーカルとして、司会者に紹介されていた。

無表情ながらも、真面目に答えているのが彼らしい。

バンド名は『輝羅』―キラ―。

彼の名は、蘭雅―ランガ―。