「いい?分かってると思うけど協力、ちゃんとしなさいよ!」



最後にそんな捨て台詞を吐くと、今度こそ妃那はバンッと音を立てて部屋を飛び出していった。

廊下をドタドタ走る音が響き、

そして学校近郊でよく聞く声で「お邪魔しましたぁ」という声。

(俺の母親にまで取り入る恐るべし女だ)



バタン、とドアがしまる音と同時に俺は小さく苦笑する。

まったく・・・協力っつったってほとんどすることねぇし。

大体、妃那のこの気合いの入りようだと瑞樹先輩のほうが迫力負けするんじゃないか?

瑞樹先輩の安否を多少気遣いながら、

商店街の福引で映画のチケットでも当たらないかなーと俺は能天気に考えてみる。

さすがに、妃那のためにはたく金はねぇから。



「とりあえず」



俺は小さくつぶやいて立ち上がる。

今からやることが二つある。

ひとつは、どうせ後で窓を乗り越えて来るだろう小悪魔女用のお菓子と紅茶を用意すること。

お菓子はもちろん、コラーゲンたっぷりかつカロリーの少ないグミ。

そしてもうひとつは、

明日「筋肉痛よ、どうしてくれんの!」と叫ぶであろう幼馴染のために、

匂いのしない湿布でも鞄に入れておくこと。



───もうなんとでも言ってくれ、結局俺はヤツに甘いんだ。





(その日の夜、夢にまで妃那が出てきて協力協力わめいていた)
(だぁぁぁぁ、お前うっせぇよ!)