「てめぇが電話してきたんだろうが！！」

『はぁ、何よ、逆ギレ！？大体、拓巳が悪いのよ！

最初っからあたしに天沢先輩のメアド教えてくれれば良かったじゃない！』

「男からしてみれば勝手にメアド知られるのって気持ち悪ぃんだぞ！

お前がデリカシーねぇ女にならないようにした俺なりの配慮だっつーの！！」

『分かりにくい！』

「文句言う前に少しはありがたく思え！！」

『はいはい、ありがとーございましたーっ！！』

「てっ『ブチィッ　　プープープー』・・・」



さらに怒鳴り返そうとした俺の言葉は、冷たい機械音によって強制的に途切れさせられた。

くっそ、あの女・・・俺のことなんだと思ってんだ？

イライラしながら携帯を閉じて、さっき以上の力で鞄に放り込む。



「おい、海斗」

「んー？何？」

「こうなったらさっさと天沢先輩と妃那くっつけるぞ」



腕組しながらそう言い放った俺に、海斗はきょとんとその目を瞬かせた。



「へ？」

「妃那が片思いの限りこんな迷惑沙汰が続くんだぜ？俺の身が持たねぇっつーの」



ストレスでどうかなっちまいそうだ。

そう言った俺を、やっぱり不思議そうに見ていた海斗。

俺は次どうやったら“協力”してやれるか考えながら空を見ていて、海斗の呟いた言葉なんて聞こえちゃいなかった。





（「付き合ったら付き合ったで面倒くさそうだけどね」）
（「何か言ったか？」）
（「ううん、拓巳と妃那っていいコンビだなーって」）