「男の友情、のつもりなんだけど?」

「お前に“男の”とか言われても」

「あ、ひどいなぁ。俺のこと女々しいとか思ってるんでしょ」



つい噴出してしまった俺に対し、海斗はむすっと口を尖らせる。

海斗のビジュアルは男らしい、というよりは中性的だし、

声だってイマイチ低くなりきってねぇし、

夏乃の影響かわからねぇけど女の気持ちよく分かってるし。

正直“男の”という響きはあまり似合わない。



「女々しいとは思ってねぇよ、お前の体張ったディフェンスは神掛かってるからな」

「じゃぁなんで笑ったわけ?」

「似合わないだけ」



似たようなもんじゃん、と結局海斗は不貞腐れる。

正直この包み隠さないのが俺なりの“男の友情”なんだけど?

そう言おうとした俺より早く、ポケットの振動がメールの受信を知らせた。

取り出せば、白いボディの中心でピンク色の光がチカチカと点滅している。



「妃那?」

「おー」



このネオン設定は個別に指定出来て、ピンクは妃那の色。

(つーか設定してんのは妃那だけだけどな)

(もちろんそれは妃那が勝手に俺の携帯をいじって設定したものだ)

海斗の言葉に適当な相槌を打ちながら受信メールを開くと、

黒い明朝体の間で、目が痛くなるようなカラフルな絵文字が狭い画面の中でぴょこぴょこ跳ねていた。



From:妃那
Title:無題
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たまにはやるじゃん!天沢
先輩からメール来たよ!!
ありがとう、今度お礼にケ
ーキ屋さん付き合ってあげ
る★拓巳大好きーっ!

   −END−



「拓巳大好き・・・だってさ。良かったじゃん」

「良くねぇし。つーか人のメール勝手に見んなよ」

「いいじゃん、相手が妃那だって分かってんだし」