拓巳は不器用な人。

謝ることは多いけれど、こうやって本気というか本音というか、

真っ直ぐに言葉をぶつけてくれることは少ない。

だから、大して抑揚のない声音でも、何も飾らない言葉でも、

拓巳の謝る気持ちは痛いほど伝わってきた。

何より、



「・・・いいよ、別に」



こんなにあたしの心が荒んでるんだもん、許さざるを得ないじゃない?

ずるいよ、拓巳は。

そんなことまでお見通しなんじゃないか、って疑いたくなる。



「あたしこそ、ごめんね」



本当に悪いのはあたしだった。

あたしが勝手に嘘をついたくせに、

拓巳なら気付いてくれるなんて勝手に自惚れて、

優しい拓巳に甘え続けて、

わがままだっていっぱいしてきて、

愛想付かされても仕方ないって分かってるのに、

今こうして拓巳と一緒にいることを・・・心のどこかで喜んでいるの。



「拓巳・・・っ」



拓巳に甘えて、頼って、縋って、

ぐちゃぐちゃになるまで泣いてしまいたかった。

嫌われたくないのに、

拓巳の声を聞くだけで自分の気持ちが抑えきれない。

拓巳なら受け止めてくれるって、

どうしても思ってしまうの。

ずるいよね。自分勝手だよね。・・・本当に、あたしが悪いの。

分かってるんだよ。

本当は。



でもね。



「たく、み・・・っ!!」



そんな風に抱き締められたら、

我慢なんて出来なくなっちゃうでしょ。