天井を見上げる。


白いなあ、と思った。


そして、私には何もないような気がした。


なんか、寂しすぎるよなあ。


……枯れ果てたと思っていたのに、また涙があふれてくる。


嗚咽しそうになったが、カーテンの外に誰かいると恥ずかしいので、押しこらえて泣いた。




泣いて、泣いて、そろそろ泣きやんで、しばらく。


無気力と虚無に支配されていた私の感覚では三十分ほどに思えたが、

本当は十分くらいだったかもしれないし、もっと長い時間が過ぎていたかもしれない。


遠い喧騒の中から、足音が近づいてきた。


複数だが、大勢ではない。


それはだんだん大きくなり、予感通りにカーテンは勢いよく開かれた。


「由紀子」


まず顔を出したのは父で、その後ろから若い女性の看護師がついてきた。


「大丈夫か」


言葉の割りに、父の顔は険しい。


それは心配でなくいら立ちからくるもののような気がして、私は不愉快になった。