しかし、父は出なかった。


フローリングにうずくまり、ずっとコールし続けたが、いつまで経っても受話器は望んだ反応を示してはくれなかった。


心細さに耐えきれず、口角が痙攣したように下がる。


それをきっかけに、両目から水分があふれ出した。


裏切り者。


日頃の行いを棚に上げて、私は心の中で父をなじった。




痛みだして、どれほど経っただろう。


下半身は肉や内臓がめちゃくちゃになっていそうで、恐くて目もやれない。


もう考える力など残っていなかった。


私は泣き腫らして半分しか開かなくなった目で受話器を確認すると、生まれて初めてその三つのボタンを押した。




けたたましいサイレンが聞こえたのは、その十数分後のことだった。