失望した。




彼女達に、ではない。


私は、私自身に失望した。




何を、期待したんだ。


私は所詮、アリィの振りまく不快をせき止める防波堤くらいの価値しかないというのに。


私が胃に穴が開きそうなくらい我慢をしてアリィの相手をしていることなど、彼女たちにはどうでもいいことなのに。


私がどんな思いで予鈴直前の廊下を走っていたかなんて、彼女達の知ったこっちゃないのに。


どうして、何を、期待したんだ。




「ちょっと、言い過ぎ……」


「だって、このくらい言わないと……」


彼女達は丸くなってこそこそと話している。


どうして気をつかう必要がある?


だって、私のことなんて『道具』くらいにしか思ってないんでしょう?


分かっているんだから。


それでも、殺しきれない尊厳が、この顔に強がりの笑顔を貼りつける。


「分かった。明日から早く来るから」


精一杯口角を引っぱって言うと、彼女たちは望みが叶ったというのに、いっそうオロオロして、


「いいの?」


「ほんとにごめんなさい」


と謝りだした。