すると、彼女たちの顔色が、さあっと変わった。


明らかに、ぎょっとしている。


彼女たちの話を聞く前に私が自分の話を始めるとでも思ったのだろうか。


そんな礼儀知らずなことするわけないのに。


「あ、私の話はもちろん後回しだから。その、話って何?」


体調が悪いのを隠して、私はできるだけフレンドリーに笑顔でそう促した。


すると彼女たちは、互いの顔を見合って、しばらくもじもじとしていたが、ようやく決心がついたのだろう一人が、こう口火を切った。




「後藤さんってさ、毎朝……遅刻ギリギリだよね」




「え」


そんな話題が来るとは思っていなかった私は、否定も肯定もできずに固まった。


「特に今日はチャイムと同時だったし」


「後藤さん真面目そうなのに、そこだけちょっと、似合わないっていうか……ね」


「家が遠いとか、何か理由があるの?」


彼女たちの口調はあくまでやわらかく、遠慮がちであるというのに、雰囲気は明らかに私を責めている。


何が起きているのかよく理解できない。


「え……どうして、そんなこと?」


質問に答えず質問を返してきた私に、彼女らは眉をひそめた。


しまった、そう自分の失敗に気づきはしたけれど、でもどう対処していいのか分からない。