それからも何かと絡んできたアリィを無言でやり過ごし、ようやく今日の授業が終わった。


部活へ向かったアリィを見送ったら、少し気が楽になったけれど、お腹は相変わらず重いまま。


保健室にでも行ってみようか。


でも保健室へ行くためには、運動場に面した渡り廊下をわたって別棟の校舎へ行かなければならない。


そこにはあと事務室くらいしかなくて、別棟へ向かう人を見たら、たいていは保健室を目的としているに違いない、

と、この学校の生徒ならもれなく予測するだろう。


もし、数日前ドラッグストアで会ったサッカー部のクラスメートに、保健室へ向かう姿を見られたとしたら。


考えすぎだと分かってはいても、あのときの被害妄想がよみがえる。


私なんかが生理になって、女ぶって、あげく痛がって助けを求めようとするなんて。




――ブスのくせに、生理痛なんて、おこがましい。




たとえ私が生理であることを知っていたとしても、そんなことを彼が思うだろうか。


いや、思うまい。


彼はお調子者だけれど、人を傷つけるようなことを言っているのは聞いたことがない。


私が、駄目なのだ。


私自身が私を差別している。




自信がない。


人より劣っている。




漠然と、だけど強く強く、そう意識に根づいている。


だから、誰にも、何も言えない。