「待って、待って、お願い!
どうして離れて行くの!?」
どうしてそんな顔をするの。
喜んでくれないの。
私は『ギャル』になったのに。
もうダサい私じゃないのに。
どうして逃げていくの。
前みたいに戻りたいだけなのに。
もどってきて、くれないの。
「あいつマジやべぇよ、頭おかしいって!ミオ、ケーサツ、ケーサツ呼べよ!」
カナエに言われたミオがカバンから携帯電話を取り出した。
「やだ、ケーサツ何番だったっけ!?分かんない!」
ミオが他の三人の顔をせわしなく見回す。
「ケーサツって、ほらアレだよ、あ、あれ?ウソ私も忘れた!どうしよう!」
ノアが髪の毛をぐしゃぐしゃにかき乱している。
「あれアンタの知り合いだったんじゃないの!?
どうにかしてよアリィ!」
わめくノアに肩をつかまれ、アリィがこちらを向いた。
アリィは今にも泣きそうな顔をして、首をぶんぶんと横に振った。
何も言わずに、ただただ何度も、何度も、何度も首を振った。


