この声はしっかり届いたようで、アリィだけでなく周囲にいた人間のほとんどがこちらへ視線を向けた。


アリィと目が合った。


それだけで気持ちがたかぶる。


「アリィ、アリィ!」


私は話ができる距離まで近づこうと、さらに走るスピードをあげた。


しかし。




「うわぁ、なにアイツ!」


「マジきめぇ!」


「ヤバいって、こっち来てる!いやぁ!」




カナエ達が、顔面蒼白になって学校とは逆の方向へ走り出した。


アリィも全身の毛が逆立ったような驚愕と恐怖の入り混じった表情で、カナエ達のあとに続いていく。




アリィが、離れて行く。




「どうして話を聞いて!ねえ見て!

アリィ達と同じ、髪も染めたしメイクもしたし、私変わったでしょう?

私も『ギャル』になったんだよ、仲間だよ!」


必死に叫ぶけれど、カナエ達は何か叫びながら逃げて行く。


「ねえ、アリィ!私アリィのためにがんばったんだよ!

こんなに、がんばったんだから!」


何度もこちらを振り返りながら、それでもアリィは足を止めてはくれない。


まるで化け物を見るような目で、おびえて、まるでこの世の終わりみたいな顔で。


私から、逃げて行く。