アリィ、アリィ、アリィ!
ぜいぜいと乱れる呼吸の中、口内で小さく唱えながら走る。
運動場を抜けて、正門を出た。
登校中の生徒達が悲鳴をあげて私から遠ざかる。
避けきれなくて肩がぶつかったりもしたけれど、倒れそうになりながらも私は走った。
私は何も間違っていない。
私はまともだ。
まともじゃないのは周りの方だ。
簡単に人を裏切る。
裏切らないのはアリィだけだ。
アリィ、アリィ、アリィ。……
走って走って、駅に近づいてきたとき、ついに見つけた。
アリィがいた!
カナエ達とも一緒だ。
通勤通学ラッシュで人が混み合う時間なのに、その四人だけが強烈な色を放っている。
ようやくたどり着いた。
この思いを、どうか話を。
「アリィ!」
私は喉をふりしぼって叫んだ。


