「触るな!」 私は麻生先生の手を払いのけた。 「渡辺、さん……?」 「近寄るな!」 ものすごい吐き気に襲われる。 『たかがせいりつうで』 『あ、もしかしてぶちょうのむすめさん?』 『かわいらしいおじょうさんですね』 『けっこんしたいひとがいるんだ』 敵だ。 みんな私を裏切る、みんな敵だ、敵だ! 「あ、渡辺さん、どこに行くの!?」 助けて、助けて! アリィだけなんだ、アリィどこにいるの? 私はアリィを探して駆け出した。