そうするだけで、きっとカナエ達は私への見方を大きく変えて聞く耳を持つだろう。


これ以上ない良案だ。


思い立ったら即行動に移すしかない。


早くアリィを助けたい、私の元へ帰ってきてほしい。


私は机の中から一万円札を全部かき集めてポケットにつっこみ、家を飛び出した。


そういえば部屋を出たときリビングはいつもの通りだったような気がする。


誰かがいる気配もなかったから、邪魔者は消えたのだろう。




『ギャル』になるには、どうすればよいか。


まずは化粧だ。


私は化粧品をひとつも持っていないので、一通り買いそろえなければならない。


何を買えばいいのか分からないし、やり方も分からない。


でも、私はアリィからオシャレのうんちくを毎日聞かされていたので、迷わずにコンビニへ向かった。


「今はコンビニコスメがチョー充実してて、質もいいんだって」


そう言っていたのを思い出し、まるでアリィが今の私を手引きしてくれているような感覚におちいる。


ありがとう、アリィ。


私がんばるからね。


いつものコンビニの、しかし立ち入ったことのないスペースへやってきた。


毎日入り口からお弁当のコーナーへまっしぐらだったから、こんなに雑貨が豊富に置いてあるとは知らなかった。


そしてアリィの言っていたとおり、化粧品コーナーには色とりどりの商品が盛りだくさんだった。


それを片っぱしから買い物カゴの中に入れていく。


どれが何のための物なのか分からないので、とりあえず全種類買うことにした。


それから、染髪料。


これも何種類かあったから、髪色戻しと書いてあるもの以外全部をカゴに入れた。