でも、大丈夫。
私は合理的に物が考えられるから、きっといいアイデアが浮かぶはず。
アリィのために、私は考える考える考える。……
その思考を、マンションの駐車場を横切っているのだろう小学生の騒ぐ声に邪魔された。
この辺りは静かだから、こういう頭がからっぽなガキが通ると悪目立ちするのだ。
ちくしょう、気が散った、低俗なもののせいで私の崇高な思考が台無しだ。
一喝してやらないと気が済まなくなった私は、つかつかと窓に歩み寄る。
その、いまだカーテンのされていなかった窓に映し出された自分と目が合って、はっとした。
手入れされていない髪、質素な顔、たるみきった服。
頭の中のほとんどを占めていたアリィやカナエ達の姿と私とでは、あまりに違いすぎた。
カナエとミオとノアが外界を遮断し、いつもつるんでいるのはなぜか。
周囲の人間と住んでいる世界が違うからだ。
それは私がクラスメートとうまくやれなかったことに似ているようだが、こちらは精神や人格の話で多少複雑だった。
でもカナエ達は単に『ギャル』であるという反社会的な趣味主張がありさえすれば、それだけでいいのだ。
だから『ギャル』にあこがれを抱いていたアリィは、簡単に飲みこまれてしまった。
その実態がどういったものかも知らないままに、あこがれを利用されて。
そうだ。
簡単なことだった。
『ギャル』と話をするためには、私も『ギャル』になればいいのだ!


