アリィ


私たちの隣のクラスで、この学年一の権力を持ち恐れられている、カナエ、ミオ、ノアだ。


「ゴメーン、うちらも鏡見たいんだけどお」


リーダー格のカナエが「どけ」と言わんばかりの迫力で私たちを睨みつけ、その後ろで残りの二人が校則違反の茶髪をいじっている。


「カナエちゃん、ごめんね」


普段の倍は甘たれた声を出したアリィから、腕を思いっきりひっぱられた。


私もこの重苦しい雰囲気から解放されたくて、二人で走ってトイレを後にした。




「ああ、恐かった」


教室へ帰ると、アリィは胸に手を当ててため息をついた。


たしかに私も恐かった。


カナエたちは中学生のくせに髪を染めて化粧もしているし、

制服を改造してスカート丈もぐんと短いし、いつも近所の高校生とつるんで遊びまわっている。


まだ幼さは残っているけれど、同じ学年の子と比べたら数段大人びていて、

しかも三人ともそれなりに整った顔立ちをしているから迫力がある。


絵に描いたようないじめっ子集団。


悔しいけれど、敵に回せばどんなことをされるか分からない、と感じさせられてしまう。


「あの傲慢な態度、すごく嫌」


私はいつだって脳内に悪意を渦巻かせてはいても悪口はめったに言わないが、このときは黙っていられずに思わず口にしてしまった。


カナエたちなど嫌われて当然のものだと決めつけていたから、もちろん同意されるものと思って。


しかし、アリィは首をかしげた。


「……そうかなあ」