アリィは休み時間の度にトイレに行くので、私もいちいちそれについて行かなければならない。
用があるのは便器ではなく、そこにしかない大きな鏡だ。
高い位置で結んだご自慢のポニーテールに乱れはないか、肌が皮脂でテカってはいないか、唇はツヤツヤに潤っているか。
美しくもない顔を熱心にチェックして、校則に引っかからない程度に最大限のオシャレを心がけているようだ。
私はいつも突っ立ってその様子を眺めているのだが、この時間が結構いたたまれない。
しおらしくコームで前髪をとかすアリィに並んで、今日は私もぎこちなく鏡をのぞいてみた。
ひどい顔。
アリィを美しくないとけなしている私自身、美しさとはかけ離れた顔をしている。
重たい奥二重、団子鼻、上下の厚みのバランスが不格好な唇……顔立ちのひどさも去ることながら、
髪を低い位置で結んでいるため老けて貧相に見えるし、肌は乾燥する季節でもないのにカサカサで、頬からは白い粉が吹き出している。
私は蛇口をひねり、手を洗うふりをして濡らした手で髪の毛をなでつけ、頬の粉を払い落した。
今朝見つけた眉間のニキビは大きくなっている。
美しくないならないなりに、もう少し身なりに気をつかうべきなのかもしれない。……
一人で現実と向き合っていたら、アリィに肩をつつかれた。
「ねえ、教室に戻ろう?」
私の制服の裾を引っぱって、しきりにトイレの入り口を気にしている。
振り返ってみると、やたらと派手な格好をした三人組がこちらを見ていた。


