今年初めてクラスを受け持つことになった新米教師の麻生 華先生は、生徒から『はなちゃん』と呼ばれ親しまれている。
背は高くないが均整のとれたスタイルに、小動物のような黒目がちな瞳が愛らしく、なにより若い。
麻生先生は、この学校のマドンナ的存在なのだ……マドンナと呼ぶには、おっとりしすぎている気もするけれど。
教師というだけで目の敵にしたくなる年頃の生徒たちも、麻生先生だけは特別。
私も、不器用ながら何事にも健気な彼女のことを慕う生徒の中の一人である。
私は、人より大人の女性を知らないと思う。
その陶器の肌や凛とした眉、つややかな潤いをはらんだ唇……子供の知らない手段を使って彼女たちが手に入れている隙のない美しさ。
浮き出た鎖骨のなめらかさ、柔らかくしなやかな腰のライン。
母親が、身近に女性がいれば免疫ができて当然のことに思えるのかもしれないそれに、私はいまだに戸惑ってしまう。
そして、憧れる。
麻生先生は、その憧れの真ん中にいる人物なのだ。
けれど、こいつは違う。
「なにあれ。教師のクセに、今日も胸の開いた服着てるし、髪型はお水っぽいし。
生徒に媚び売ってぶりっこするし、気持ち悪ーい」


