アリィ


「ねえねえ、ゆっぴー。昨日のドラマ見た?」


今日も始まった。


アリィに限ったことではないが、この教室内で交わされる会話の内容といったら、テレビか、好きな男子のことか、誰かの悪口しかない。


私にはまったく興味のないことばかりだ。


「私は……見てない」


「あのね、昨日のドラマなんだけど、ヒロイン役の女優の演技がすごい下手で。

だからストーリーとか全然楽しめなかったの」


見てないと言っているのに話を続けるなよ。


こんなのにいちいち付き合っていられない、無視だ無視。


私は話を聞くふりをして、廊下を眺めていることにした。


もう朝のホームルームが始まる時間なのに、まだ先生が来ない。


チャイムによって一瞬静まった教室も、再び騒がしさを取り戻している。


「アリィ思うんだけど、最近の芸能界のレベルって低くない?

才能のない奴がどうしてあんなに売り出してもらえたりするのかなあ」


職員会議が長引いているのだろうか。


先生、早く扉を開けてください。


「あのドラマの女優って、きっと裏でヤラシイことやってるんだよ。

だって、あれくらいの演技なら絶対アリィのほうが上手にできるもん」