相変わらずの穏やかな雰囲気である。

どこにそんなものが漂っているのだろうかと疑ってしまう。

彼女はいきなりの彼の登場にうつむいた。

俺はと言うと、平静を装うのがやっとである。

「お昼休み過ぎても戻ってこないから、探しにきた」

ゆるい口調で、東雲が言った。

さっきまでの行為を彼に見られていないだろうか?

恐怖にも似た感覚に、平静を保つのがつらい。

「中原、南野課長が怒ってたよ?」

南野――俺が1番聞きたくない名前だ。

そう言えば、同じ部署に勤めていたんだったとそんなことを思い出した。