私は慌てて携帯電話を閉じると、
「何でもない!」

首を横に振って答えた。

「私、ちょっとトイレに行ってくる」

「わかった」

そう返事した冴子に手を振ると、屋上を出た。


駆け込むようにトイレの個室に入ると、手に持っていた携帯電話を開いた。

「何よこれ…」

堂々とメールの本文に載せられた画像は、私と勇のキスシーンだった。

場所と時間帯を推測して見ると、昨日の夜のオフィスである。

カチカチとスクロールをしながら、メールを読み進めた。