「前の国王の妃は、
たまに来ていたよ。」

「母さんが?」

「ああ。
庶民の暮らしが分からないと、
自分達の暮らしが
当たり前だと思ってしまうと、
何度も足を運ばれた。」

ポンは懐かしむように、
俺に話してくれた。

「俺は当時、
ナンシー様の家来で、
色々な村を見に行かれた。
人から伝わってくる事は、
綺麗ごとばかり言う。」

「俺も同じだよ。
宮殿から全く出た事がない
俺にとっては宮殿こその
生活が当たり前だと思った。」

「当たり前だよ。
けどナンシー様は違った。
自分の目で確かめると、
何度も足を運んでは、
国王に伝えていた。」

「そうだったのか。」

「けどナンシー様が
亡くなってからは、
本当に村全体がおかしくも
なってしまった。」

ポンの言葉に俺は、
驚いた。