ドラゴン・テイル


 ならば何故ウルが迷うのか。

 その原因は二つあるが、その内の一つは手持ちの金貨にあった。

 旅に危険は付き物だ。モンスターだけならばマシだが、中には盗賊に襲われる場合もある。

 金貨を大量に持ち歩いての一人旅等、盗賊たちにとってはまさにカモがネギを背負って歩いているようなものだ。

 ならば、どうするか。

 答えは一つ。
 金を、金として持ち歩かなければ良いのだ。

 旅人のほとんどは、魔法アイテムを金の代わりとして持ち歩く者が多い。

 前に魔術講師が言っていた言葉を思い出す。

 魔法アイテムだけは、相場と言うものが定められない。理由はいくつかあるが、量産できないと言うのも大きな要因の一つである。出回る魔法アイテムの多くは、魔導師の実験で作られた産物が多いからだ。
 中には金銭目的の為に魔法アイテムを大量生産する魔導師もいるが。

 彼らの多くは自己満足や、その道の第一人者を目指す者。

 自分が作ったアイテムを数多く量産すると、コピーを作られる可能性があるため、必要最低限しか生成しないのだ。

 故(ゆえ)に、魔法アイテムは普通の消費アイテムと違って殆どが値の張る物ばかり。需要が高い物ほど、数が少なく高値で出回ることになる。

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