「ここに居たければ居てもいい」 「本当?」 「ただ、静かにしていて」 「分かった」 これはきっと私の気紛れ。 そして思った。 人と話したのはいつぶりだろう。 こんなに喋ったのはいつぶりだろう。 私の話し相手はここの本たちだけ。 そう思っていた。 彼は私の話し相手になってくれる? 『静かにしていて』と言った口とは逆に、心は正直だった。 私の心に淡い期待が膨らんだ。